東京地方裁判所 昭和45年(ワ)1241号 判決 1971年5月29日
原告
高橋房吉
高橋繁美
代理人
山田至
中根秀夫
被告
東陽石材株式会社
代理人
高津季雄
主文
被告は、原告高橋房吉に対し金一六九万〇三〇五円および内金一五四万〇三〇五円に対する、原告高橋繁美に対し金一四一万〇三〇五円および内金一二九万〇三〇五円に対する、いずれも昭和四五年二月二〇日以降支払い済みに至るまで年五分の割合による金員を支払うべし。
原告らの被告に対するその余の請求をいずれも棄却する。
訴訟費用はこれを六分し、その五を原告らの連帯負担とし、その余を被告の負担とする。
この判決第一項は、かりに執行することができる。
事実
第一 請求の趣旨
一 被告は原告高橋房吉に対し金九四五万五四四六円、原告高橋繁美に対し金八六六万三二一一円およびこれらに対する各昭和四五年二月二〇日以降支払済みに至るまで年五分の割合による金員の支払いをせよ。
二 訴訟費用は被告の負担とする。
との判決および仮執行の宣言を求める。
第二 請求の趣旨に対する答弁
一 原告らの請求を棄却する。
二 訴訟費用は原告らの負担とする。
との判決を求める。
第三 請求の原因
一 (事故の発生)
訴外亡高橋奈保子(以下亡奈保子という)は、次の交通事故によつて死亡した。
(一) 発生時 昭和四四年九月一七日午後五時五〇分頃
(二) 発生地 東京都南多摩郡多摩町連光寺二二二一番地
(三) 加害車 自家用大型貨物自動車
(品川一・ろ・八一〇号)
運転者 訴外関根嘉一(以下訴外関根という)
(四) 被害者 訴外亡奈保子(歩行中)
(五) 態様 亡奈保子が、前記発生地路上のガードレールによつて区画された歩道内を歩行中のところへ、訴外関根運転の加害車が右ガードレールに突込み歩道に進入し、亡奈保子に衝突した。
(六) 被害者 亡奈保子は本件事故後約一六時間後の昭和四四年九月一八日午前一〇時五分脳内出血のため死亡した。
二 (責任原因)
被告会社は、加害車を所有しその業務用に使用し自己のために運行の用に供していたものであるから、自賠法三条により、本件事故により生じた原告らおよび亡奈保子に生じ原告らが相続した損害賠償請求権を履行すべき責任を負う。
三 (損害)
(一) 葬儀費等
原告房吉は、訴外奈保子の事故死に伴い、次のとおりの出捐を余儀なくされた。
1 病院処置費用
金二万〇二〇〇円
亡奈保子は本件事故後病院に収容され、手当も及ばず死亡するに至つたのであるが、右手当と処置に関する費用として頭書金額を出捐した。
2 葬儀関係費用
金六七万二、〇三五円
その内訳は次のとおりである。
(1) 布施代(四回分) 四万円
(2) 葬儀業者費用 一一万一七〇〇円
(3) 墓地購入費 五万円
(4) 墓石建立費 二八万五〇〇〇円
(5) 仏具購入費 四万二四五〇円
(6) 香典返し 一四万二八八五円
(二) 被害者に生じた損害
1 訴外奈保子が死亡によつて喪失した得べかりし利益は、次のとおり金五一二万六四二三円と算定される。
(死亡時) 満一一歳四カ月
(推定余命) 60.81年(第一〇回平均余命表による)
(稼働可能年数) 四二年間(満一八歳より満六〇歳まで)
(収益) 金二万八七四四円(労働大臣官房労働統計調査による昭和四四年五月における三〇人以上の労働者を常用する産業の女子労働者平均月間現金給与総額)
(控除すべき生活費)右収益の三分の一
(毎月の純利益) 金一万九一六三円
(年五分の中間利息控除) ホフマン複式(年別)計算による。
2 右訴外人の死亡による精神的損害慰藉すべき額は、次のような諸事情に鑑み金五〇〇万円が相当である。
本件は訴外関根の無謀運転により、なんら過失のない亡奈保子を死に至らしめたものであり、しかも、事故後訴外関根はこれを警察官に報告せず、そのため、亡奈保子は一時間近く事故現場に放置されたという悲惨な状況下におかれたのである。そのうち、訴外関根は犯行後事故で破損したライトをひそかに修理して、犯行を隠蔽し、遺族にも非常な苦痛を与えたのである。
3 原告らは右訴外人の両親で相続人の全部である。よつて、原告らはいずれも親として、それぞれ相続分に応じ右訴外人の賠償請求権を相続した。その額は、原告両名において各金五〇六万三二一一円ずつとなる。
(三) 原告らの慰藉料
原告らは最愛の我が子を前記のとおり悪質なひき逃げ事故で失なうに至つた。
その精神的損害を慰藉するためには、原告両名に対し各金四〇〇万円が相当である。なお前記亡奈保子の慰藉料が認容できないとされる場合には、原告ら両名のそれを右のほか、なお各金二五〇万円ずつ予備的に主張する。
(四) 損害の填補
原告両名は訴外自賠責保険から本件事故による損害金として既に各金一五〇万円ずつ合計三〇〇万円の支払いを受けた。
(五) 弁護士費用
以上により、原告房吉は金八二五万五四四六円、原告繁美は金七五六万三二一一円の各損害金支払を被告に対し請求しうるものであるところ、被告はその任意の弁済に応じないので、原告らは弁護士たる本件原告訴訟代理人にその取立てを委任し、弁護士会所定の報酬範囲内で、原告房吉は金一二〇万円の、原告繁美は金一一〇万円の、各手数料・報酬支払債務を負担せざるをえなくなつたので、これを本件事故にもとづく損害として各請求する。
四 (結論)
よつて、被告に対し、原告房吉は金九四五万五四四六円、原告繁美は金八六六万三二一一円、およびこれらに対する各訴状送達の日翌日である昭和四五年二月二〇日以後支払済みまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金の支払いを求める。
第四 被告の事実主張
一 (請求原因に対する認否)
第一項中(一)ないし(四)は認める。(五)は否認する。(六)は認める。
第二項は認める。
第三項のうち、原告両名が、自賠責保険より各金一五〇万円ずつ、主張のとおり受領したこと、原告らが亡奈保子の両親であることは認めるが、亡奈保子の慰藉料請求根拠として原告の主張する事故態様・事故後の訴外関根の措置((二)2)は否認し、その余の事実はすべて知らない。
二 (養育費控除の主張)
原告らは、本件請求に当り、亡奈保子の養育費を控除していないが、満一一才の亡奈保子が本件事故に遭わなかつたとして、稼働が可能となる迄の期間原告たる両親の扶養が不可欠の要件となるのであり、その間の養育費は同女が稼働可能となるためのいわば必要経費の性格を有するものといえるから、右費用を控除しなくてはならない。その額は一カ月当り七〇〇〇円を相当と思料する。
三 (損害の填補)
原告房吉は本件事故後、自賠責保険金より、なお病院処置費用と同額の金二万〇二〇〇円を受領しているので、右額は本訴請求より控除さるべきである。
第五 抗弁事実に対する原告らの認否
被告主張の金二万〇二〇〇円支払の事実は認める。
第六 証拠関係<略>
理由
一(事故の発生)
原告ら主張請求の原因第一項(一)乃至(四)および(六)の各事実(事故発生時・発生地・加害車・被害者そして本件事故による亡奈保子死亡の各事実)は当事者間に争いなく、<証拠>によると本件事故態様は、次のようなものであつたと認めることができる。
本件事故現場は、川崎街道と呼ばれる道路上にあり、交通量はかなり多く、とくに宅地造成工事等に関連して大型貨物自動車の通行が頻繁なところであるが、坂道であるうえに、道路はカーブしており見とおしは良好でない。また本事故現場付近は道路脇にガードレールが設けられていたものの、これは車道と歩道を区画するものではなく、道路より通行するものが、道路外へ転落するのを防止するために道路いつぱいに設置されているものであるため、歩行者は右ガードレールの内側を車とともに歩くのが常態となつていた。事故当日亡奈保子は、折柄の雨のため傘をさし、ガードレール内側傍を、レールに沿つて歩行していたところ、加害車を運転し、事故現場に至つた訴外関根が、自動車運転手として遵守すべき、道路前方注視と交通状況対処安全運転の義務に違反し、前方注視を怠り、亡奈保子の歩行状況を適確に把握せず、歩行者と衝突のおそれのない間隔を保持して進行する措置をとらず、ガードレール傍に寄りすぎる進路をとつたため、亡奈保子を自車で跳ね飛ばすに至つた。
右のような事実が認められ、右認定に反する証拠はない。そうすると、本件事故は原告らが主張するようなガードレール内への加害車の突入というものではないけれども、道路脇をガードレールに沿つて歩行中であつた亡奈保子を、前方注視・安全運転義務に反した訴外関根の過失のため、加害車でもつて跳ねとばすに至つたものであつて、前認定のとおり歩車道を区分するものでないガードレールの内側をこれに沿つて歩いていた亡奈保子には、事故発生についてなんら咎められるべき筋合はないと判断できる。
二 (被告の責任)
従つて、本件加害車の運行供用者であることを争わない被告は、本件事故につきいわゆる人損の損害賠償義務を負わなくてはならない。
三(損害)
(一) 葬儀費等
1 病院処置費用
金二万〇二〇〇円
<証拠>によれば、原告房吉は亡奈保子の本件事故後の病院における手当と死後処置のための費用として、金二万〇二〇〇円相当の費用を負担するに至つていることが認められ、右と同額の損害を蒙つたとみるのが相当である。
2 葬儀関係費用 金二五万円
<証拠>によると、原告房吉は独立して大工職に従事している者であるが、亡奈保子の親として(原告房吉が奈保子の親であることは当事者間に争いない)、その葬儀を喪主としてとり行ない、葬儀当日の諸費用のほか、通夜・初七日より四九日迄の諸忌日の法事費用、これら行事に際しての来客接待費、香典返し、仏壇墓地墓石墓碑購入費として原告ら主張のとおり少なくとも金六七万二、〇三五円の出費を負担していることが認められ、右認定に反する証拠はないところ、右のうち香典返しは訴外亡奈保子の死亡に伴なつて当然負担せざるをえなくなるものではなく、まず香典の授受があり、これに対する返礼として始めてなされるものであつて、しかも香典よりも低額のものがなされること顕著なところであるから、事故と相当因果関係を有する損害とみることはできないし、墓石建立費・仏具購人費についても、<証拠>より認められるところの、原告らとしては今回の墓地・墓石・墓碑購入が一家としては始めてのことで、原告ら夫婦には他に一女を養育している事実などよりすると、これら費用も、その約三〇%に当る金一一万円の限度迄は亡奈保子の霊をまつるものとして相当であるが、これを越える部分までもが本件事故と相当因果関係をもつとは認め難く、以上のほかの諸費用についても、金一四万円を超える部分についてみるに、前認定の原告房吉の社会的地位・原告らの家族構成等よりして、社会通念上考えられる亡奈保子の事故死に伴なう葬儀の費用としては相当の範囲をこえるとみざるをえず、従つて右部分は本件事故と相当因果関係をもつ損害とは認め難いので、葬儀関係費用としては、結局金二五万円が事故と相当な因果関係をもつ損害となる。
(二) 亡奈保子の逸失利益
金一五八万〇六〇九円
<証拠>によると、亡奈保子は昭和三三年五月三日生の女子で、事故当時小学校五年生として通常人とほぼ変わりない健康を保持し、学業成績も良く、本人の希望もあつて原告ら両親としても、できる限りの学業を修めさせたいと考えていたことが認められ、右認定に反する証拠はない。
右認定事実に前認定の原告房吉の社会的地位を考慮すると、亡奈保子は短期大学卒業程度の学歴をもつて、社会にで、満二〇才より満六〇才に達する迄の四〇年間は少なくとも女子労働者平均賃金程度の収入を挙げうる労働能力を保持しえたものと認められるところ、昭和四四年度の賃金構造基本統計調査によると、全女子労働者の平均全年収は金三六万八三〇〇円となるとの顕著な事実を参酌しつつ、亡奈保子の右認定健康状態・学業成績をもとに検討すると、亡奈保子は右稼働期間中、平均して一カ年当り金三六万円の収入を少なくとも挙げえたものと認められる。亡奈保子は、これより右稼働が現実化されておれば、当然その義務を尽くし、自己の利得となしえないはずであつた所得税該当額と、そのほか自己の生活費を控除した額を、毎年純収益としてうかべかりしものであつたと考えられるが、前認定の亡奈保子の健康・学業成績・収入額・稼働期間に鑑みると、控除すべき額は金一八万円をこえることはないものと認められるので、亡奈保子は年間金一八万円の純収益を満二〇才より四〇年に亘り挙げると判断できる。ところでこれが現在価値を算出する方式であるが、現今貨幣資本はすべて複利で運用されている実態と、期間が長期の場合元金は永久に残存し、年利息が年収益より多額となる結果を生ずる場合があるホフマン方式の不合理性よりして、ライプニッツ方式に則るべきであるので、その計算式は次のとおりとなる。
18万円×(18.1687〔四九年のライプニッツ複式指数〕−7.1078〔九年のライプニッツ複式指数〕)=199万0962円(但し、亡奈保子は事故時満一一才として計算する。)
これが亡奈保子の稼働全期間の純収益の現在価値である。ところで、亡奈保子は事故時満一一才四月余の女子で稼働可能年令に達する迄少なくとも八年と七月間なにがしかの金員を費し、始めて稼働が望めるようになるのであつて、右出費は労働能力形成のため不可欠投下資本というべきものであるから、これが現実負担者・賠償請求者の如何にかかわらず、逸失利益より控除すべきである。そしてその額は、前認定学業継続期間・亡奈保子の健康状態等よりみると一カ年当り金六万円をこえることはないといえるのでこの現在価値を同じくライプニッツ方式で求めると次の計算式どおりで、金四一万〇三五三円となる。
6万円×6.4632円(8年のライプニッツ指数)+3万5000×(7.1078〔九年のライプニッツ指数〕−6.4632)=41万0353円(但し、不稼働期間の最後の年の養育後は事故より九年目に現実損あるものとし、その余も、各年限ごとに金六万円ずつの出捐あるものとした。)
従つて、金一九九万〇九六二円より金四一万〇三五三円を控除した金一五八万〇六〇九円が、亡奈保子の逸失利益である。
なお、右認定における年収額は、原告ら主張の額を上廻つてはいるが、右は、純収益を導出する過程で主張される補助的な事実にすぎず、しかも純収益自体も、事故により喪失した労働能力の数値的評価とその主張の限界確定のため主張する、重要ではあるが、間接事実に当るものと解されるので、右認定は弁論主義になんら反せず、また右認定は純収益以降の金額認定では原告らの主張をこえていない故、被告に対し不当な不意打の不利益を与えるものではないこと明白であるから、右認定を不当なものとするのは、理由がない。
(三) 慰藉料 金四〇〇万円
原告らは、亡奈保子の慰藉料請求権を相続したと主張し、これが賠償請求をなすけれども、右主張は、死亡により権利主体でなくなる死者に権利取得という事実が生じることを容認せざるをえなくなるうえ、本来一身専属性をもつ慰藉料請求権に相続性を肯定することとなる故に、これを採用することはできず、原告らのこの点の請求は理由なく失当である。
右請求は、その予備的に主張する遺族たる原告固有の慰藉料請求として判断することとする。
そこで、原告らの慰藉料につき、予備的主張も含めて検討するに、前認定事故態様、亡奈保子の学業成績や健康状態、原告らの家族構成に<証拠>により認められるところの、本件事故後訴外関根は、事故発生を知りつつ、これを警察官に報告せず、また亡奈保子に対し救護措置をとらなかつたばかりか、事故後車のライトを左右取り替えたうえ、修理に出すなど証拠湮滅を計るなどの行動をとつた事実のほか、本件諸事情を総合すると、原告らが本件事故により受けた精神的損害は、原告両名各二〇〇万円ずつ、合計金四〇〇万円をもつて慰藉するのが相当である。
(四) 原告らが亡奈保子の両親であることは当事者間に争いなく、これと前認定亡奈保子の年令、原告らの家族構成とあわせると、原告らが亡奈保子の相続人の全部であること明らかであるから、原告両名は亡奈保子の逸失利益相当損害賠償請求権を相続分たる二分の一ずつの金七九万〇三〇五円(円未満は五〇銭以上切り上げ方式による)あて相続したことになる。
そうすると、原告房吉は右のほか、病院処置費用・葬儀関係費用・慰藉料を合した金三〇六万〇五〇五円の、原告繁美は、同じく金七九万〇三〇五円と慰藉料の合計金二七九万〇三〇五円の、各賠償請求権を取得したものであつたところ、本件事故後自賠責保険より原告房吉は金一五二万〇二〇〇円、原告繁美は金一五〇万円を本件事故に関し各受領したこと当事者間に争いないので、これを右請求権額より控除した原告房吉については金一五四万〇三〇五円、原告繁美については金一二九万〇三〇五円、の各金額が、本訴において原告らの賠償を求めうるところとなる。
そして<証拠>によると、原告らは、被告が右損害金を任意弁済しようとしなかつたので、やむなく原告らは原告訴訟代理人に右の取立を委任し、その際その主張どおり手数料・報酬各支払の約を結んだことが認められ、右認定に反する証拠はないが、本件事案の内容、審理の経過、認容額に照らすと、原告らが被告に対し負担させうる弁護士費用は、原告房吉については金一五万円の、原告繁美については金一二万円の各限度で相当であつて、これをこえる部分迄被告に負担させることはできないとみるべきである。なお弁護士費用に対する遅延損害金は、本訴において、原告らの訴訟代理人に対する支払あるいは支払期日につき主張立証されるところないうえ、そもそも弁護士費用は本質的には訴訟費用と異なるところなく、訴訟の帰趨定まらざる段階で、被告に負担させるのが相当である遅延損害金迄発生すると解すべきでないし、将来給付の必要性につき主張するところなき本訴では、結局認容の余地はないことになる。
四(結論)
以上のとおりであるから、原告房吉は金一六九万〇三〇五円およびこれより弁護士費用を控除した金一五四万〇三〇五円に対する本件事故発生日より後で本訴訴状送達の翌日であること記録上明らかな昭和四五年二月二〇日より完済迄年五分の割合による民法所定遅延損害金の、原告繁美は金一四一万〇三〇五円およびこれより弁護士費用を控除した金一二九万〇三〇五円に対する同じく昭和四五年二月二〇日より完済迄年五分の割合による民法所定遅延損害金の、各支払を被告に対し求めうるので、この限度で原告らの本訴各請求を認容し、その余は理由なく失当として棄却し、訴訟費用の負担について民法八九条、九二条本文、九三条一項但書、仮執行の宣言について同法一九六条を各適用し、主文のとおり判決する。(谷川克)